馬とふれあうと、自然と笑顔がこぼれ、緊張がほぐれ、心がほんわか温かくなる。馬がいると、なぜだか人が集まってきて、空気が和む。馬に乗せると、心に問題を抱えた子供たちも表情がやわらかくなり、身体が不自由でちゃんと座ることができない子も、なぜだか背中がまっすぐになってくる。
「ホースセラピー」という言葉が知られ始めたのはつい最近のことですが、ヨナグニウマに関わる私たちは、馬が人の心や身体にとてもいい影響を与えてくれることをずっと前から実感していました。
だからこそ、子供たち、そしてしょうがいを持った子供たちには、ぜひヨナグニウマと遊んでほしいのです。子供やしょうがい児を対象としたホースセラピーは、小柄で優しいヨナグニウマが最大限に力を発揮できる分野かもしれません。
沖縄本島の「うみかぜホースファーム」では、特に動物介在教育や、しょうがいを持った子供たちの馬を介した療育に力を入れており、
保育園、幼稚園、小学校や児童デイサービスなどへ、ヨナグニウマたちを連れていって、訪問型の動物介在教育プログラムを実施しています。月に1回、定期的に訪問している保育園さんも数多く、園児さんたちは卒園するまでにはすっかり馬と仲良くなり、乗馬もお手の物です。
とはいえ、このプログラムの目的は乗馬技術の向上ではありません。馬と遊ぶ、馬に乗せてもらう、という行為に至るまでに子供たちにとって数々の試練があり、そして達成があります。まずは馬と仲良くなるために、ニンジンをあげたり、撫でてあげたり。大人にとっては簡単そうな事柄も、子供にとっては「怖い」の一言です。こうした恐怖を克服して最終的に馬に乗れた時の子供たちの誇らしげな笑顔。達成感、そして自信。それが、馬を介した動物介在教育の目的の一つでもあります。
もちろん、馬に乗るまでの順番をちゃんと待つ、自分が乗ったら終わりではなく、ほかの子たちを応援する。馬を怖がっている子を助けて、一緒にニンジンをあげてあげる。馬を介在したプログラムでは、そうした子供たちの社会性につながる数々の仕掛けをつくることができ、馬というインパクトの強い動物を使うことによって、より子供たちの心に印象深く刻まれます。
沖縄本島ではまた、小学生を対象にした週1回の「馬クラブ」もあります。もちろん、馬に乗って走ったりできるようになりますが、こちらも、主目的は乗馬技術の向上ではありません。馬に乗るだけでなく、「馬に関わるすべてのことを自分たちでできるように」が合言葉です。
馬の手入れや健康チェック、馬具をそろえる、つける、片付ける、馬が食べる草を刈る、集める、あげる、馬の糞をひろって堆肥をつくる、堆肥を使って畑を作る、馬の放牧地を自分たちの手で作る、そうしたことを同じ年ごろの子供たちと助け合いながら、そして目下の子供たちを助けながらやっていくうちに、子供たちはどんどんたくましくなり、そして「自分で考える」ことを学んでいきます。
そして何より私たちが大切にしているのは、「馬の気持ちになる」ということ。自分が乗りたい、乗ってかっこよく走りたい。それももちろんいいけれど、「馬は今どんな気持ちでいるのだろう」「疲れてはいないだろうか?」「体のどこかが痛くないだろうか?」「乱暴に扱ったら嫌じゃないだろうか?」「どんな風に乗ったら馬は楽なのだろう?」 物言わぬ馬だからこそ、子供たちは観察力と想像力を働かせ、相手を思いやる心を育てていきます。それはそのまま、人間社会でのコミュニケーションにも役立つスキルです。馬をここまで思いやることができたら、子供だって立派なホースマン、そして社会の一員。もう教えることはありません。
ホースセラピーの効果は社会性や精神面の健康や成長などといった心の面に限らず、身体にももちろん良い影響を与えます。馬に背中に乗って揺られることは、平衡感覚はもちろん、いろんな筋肉や関節、神経、内臓などに適度な刺激を与え、その機能を向上させます。
馬に乗ると姿勢が良くなる、とよく言われますが、馬の背に揺られて不安定になると、人間は自然に身体でバランスを取るようになり、それが良い姿勢となって表れます(それが最もバランスが取れる姿勢だからです)。
背筋が伸びれば胸も開いて呼吸が楽になり、内臓も圧迫から解放されます。腰と股関節も揺られることによって緊張が緩み、可動域が広がります。しょうがいを持った子供たちだけでなく、健常な子供たちにとっても、馬との付き合い、そして乗馬は心身両面を健やかにしてくれるものなのです。
小柄なヨナグニウマ。大人が乗っても大丈夫?とよく聞かれます。もちろん、答えはイエス。でもやっぱり限度はあります。少しだけなら、75キロぐらいまでは大丈夫。それ以上になると、馬も重くてストレスを感じます。馬にもストレスを与えてはいけませんよね。
そこで私たちが提案するのは、「乗らない」ホースセラピー。
馬とふれあう、ブラシをかけてみる、馬を引いてお散歩してみる、馬と一緒に課題をクリアする。そうした馬との付き合いの中から馬や周りの人との心の交流が生まれ、信頼が生まれ、いろんな気づきが生まれ、馬と自分が置かれている自然の美しさに気が付き、知らず知らずのうちに沈んでいた心が浮き立ち、心の底から笑っている自分がいます。
最近少し心が疲れ気味。人間関係で悩んでいる。会社でリーダーになったはいいけれど、部下の心がつかめない。そんな方たちに、ぜひ馬とふれあってほしいと思います。そこから、心が元気になるためのいろいろなヒントをつかんでください。
各広場・牧場のホームページから直接ご予約ください
沖縄本島でヨナグニウマと遊べるのがこちら。犬や猫、ヤギさんも暮らすほのぼの牧場です。那覇空港からは、車で30~50分です。
ヨナグニウマふれあい広場出身の元スタッフが開いた、兄弟牧場の第一号。もちろん、ヨナグニウマへの熱い思いと元祖・海馬遊びのスピリッツはそのまま!久米島馬牧場は、与那国馬だけではなくそのほかの日本在来種とも遊べます。
こちらもヨナグニウマふれあい広場出身の元スタッフが最近開いた牧場です。石垣島の一番端っこにあるので、日本ではないような美しい風景の中での 馬遊びが楽しめます。
旧ヨナグニウマふれあい広場のスタッフが、2020年4月から新牧場を立ち上げ、活動再開します! 海馬遊びはもちろん、体験乗馬もトレッキングも与那国島の大自然のなかで楽しめますよ。